音羽山 清水寺

 
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よだん堂

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観音さまの時間で臨み、人の時間で今日を成す ―東山の環境危機と未来―

倒木と土砂の下に眠る山岳寺院

当山が建つ山を、山号と同じく「音羽山」と呼んでいますが、地理上では「清水山」が正式名。清水山は標高242.5mの小高い山で、北の比叡山から南の稲荷山までを総称して「東山三十六峰」、「東山」といいます。この東山には、当山を含め、たくさんの寺社仏閣がありますが、山中に、倒木と土砂に埋もれた大寺院の遺跡があることをご存知でしょうか。今回のよだん堂は、その寺院跡の一部を訪ね、東山の抱える環境問題や、自然と人とのかかわりについてご紹介しましょう。

訪れたのは如意寺跡。如意寺は大津市にある園城寺(三井寺)の別院で、京都市左京区の鹿ケ谷から園城寺までの山中、南北2.5kmにわたって開かれた広大な山岳寺院でした。最盛期の鎌倉時代には70に至る堂塔社殿が立ち並んでいたと伝えられていますが、応仁の乱(1467~1477年)で焼失して以来廃寺となり、以降、園城寺の古地図、京と近江を結ぶ古道「如意越道」と、「如意ケ岳」という山の名に、その存在を残すのみでした。

1990年代になって幾度か調査行われ、礎石や石組、瓦などが出土し、少しずつ全体像が明らかになってきました。しかし、せっかくの発見であるにも関わらず、現在、その遺構は容易には見ることができません。
理由は、山の荒廃です。一帯は伐採されたままの丸太や土砂が堆積する放置林になっていて、全国に大きな被害を出した平成25年(2013)の台風18号によって大規模な土砂崩れも起き、往時を偲ばせるものの多くは、土や倒木に埋まってしまっているのです。

今回、如意寺跡へご案内くださった高田研一先生は、長年、森林と樹木の生態学を研究され、その成果と経験を生かして、緑化や治山の指導に当たっておられる"森と山のスペシャリスト"。ナラ枯れやシカの食害などによって、森林の植生が著しく変化し、景観の悪化と環境の荒廃が深刻化する京都の山を復活させようと尽力されており、そのなかで、歴史的、宗教的価値のある遺跡にも目を向け、これらの保存もまた、京都らしい山を成すためには重要であると主張されています。

古来より、日本人は太陽や水、山や石のひとつに至るまで、あらゆるものに神仏が宿ると信じ、自然を敬ってきました。それは自然の恵みによって人間が生かされていることを知り、感謝と怖れを抱いていたから。当山の信仰の起源が、清水山(音羽山)に湧き出す清水であったように、この日本古来の自然崇拝と結びついた神社仏閣は、山の麓にたくさん現存しています。しかし、「如意寺のように歴史から消えた寺院は、他にも数多く土砂の下に眠っている。」と、高田先生はいいます。

鹿ケ谷から山中へ。放置されたスギの植林の中を歩きます。
寺院が建っていたという巨大な盛り土。土砂に削られ崖のように崩れてしまっていました。
熊野三所跡。少し開けたこの場所には、本宮、新宮、那智のそれぞれのお宮があったといいます。
「このような危機的状況にある山や森は日本中にあるのです。」と語る高田先生。

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