Vol.1 意味を知ればより深まる 清水寺「大涅槃図」拝観のツボ

清水寺の「大涅槃図」ここが見どころ


満月とお釈迦さまの生母


沙羅双樹にくくられたお釈迦さまの赤い包み


嘆く弟子アーナンダ。一説によると、アーナンダは大層男前だったらしく、いかにハンサムに、かつ嘆きの表情をうまく描くかが涅槃画のポイントのひとつであるという解説もあります。


足をさする老弟子スバッダラ


馬や牛、さる、キジ、象に獅子…あらゆる動物がお釈迦さまの最後の説法を聞こうと集まっています。

「涅槃図」には、描くものの意味や配置など、さまざまな約束事があり、このポイントをおさえると、より興味深く拝観することができます。上部から順にご紹介しましょう。

●その1...満月
お釈迦さまの入滅の日は2月15日のため、十五夜の美しい満月が描かれています。


●その2...右上の雲上の一団
最も大きく描かれているのは、お釈迦さまの生母・摩耶(マヤ)夫人です。天女たちに付き添われ、お釈迦さまの弟子の阿那律尊者(アヌルッダ)に先導されて、息子のもとへ向かっているところです。


●その3...8本の沙羅双樹
横になられたお釈迦さまを囲んでいるのは沙羅双樹の木。左から4番目の幹には、赤い布に包まれたお釈迦さまの托鉢の器が描かれています。
この沙羅双樹のうち、右4本は白く枯れ、入滅の悲しみを、左4本は青々と葉を広げ、お釈迦さまの教えの不滅を表現しています。また、一説には、8本の沙羅双樹はお釈迦さまが説かれた八正道の教えの象徴とも言われます。

八正道とは、物事の道理を正しく見る「正見」、物事を正しく考え判断する「正思」、正しい言葉・うその無い真実の言葉「正語」、邪念のない正しい行い「正業」、規則正しい生活「正命」、正しい修行・正しい努力をする「正精進」、正しい信念・正しい目標をもつ「正念」、迷いを離れた安らかな境地・安定「正定」。これら人間の八つの正しい生き方のことです。


●その4...弟子たちの嘆き
宝台下中央で嘆き悲しんでいるのはお釈迦さまの側近の阿難尊者(アーナンダ)。「これから涅槃に入る」と言われ、止めなかったことを激しく後悔していると言われています。お釈迦さまの足をさすっているのは、すでに120歳であったという須跋陀羅(スバッダラ)。お釈迦さまの45年にわたる布教教化活動の偉業を労わっています。


●その5...動物たちも集合
下の方には多くの動物が描かれ、中には象など当時日本では見ることができなかった動物や、想像上の生き物の姿もあります。食物連鎖の理や、普段は互いに争いあう諸動物も、この時ばかりは揃ってお釈迦さまの入滅を悲しんでいるのです。

>>次のページは、大涅槃図制作エピソードです

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